プライマリーナースとアソシエートナース

病気や治療の説明する場には、医師、看護師、ソーシャルワーカーなどが同席する。そのとき、看護師の役割は重要だ。

「医師が説明しているとき、とくに初めて説明をする場面では、私たちは父母の表情や言動などから、この家族はどんな家族だろうか、医師の説明が理解されているかなどを見ます。そして、父母の仕事、住所、兄弟の有無、患者さんの年齢、通学している学校など、さまざまな配慮した上で、早めにその患者さんの入院から退院まで責任を持つプライマリーナース(*)を決めるのです」(吉川さん)

プライマリーナースは、スタッフからの希望を優先して決めており、場合によっては、手助けをするアソシエートナースをつけ、2人1組で1人の小児がん患者さんを全身全霊でケアする。その場合、ケアの対象は患者さんだけでなく、家族、兄弟を含めてとなる。基本的には、病棟看護師は入院中を主に担当し、外来治療に移行すると、外来のプライマリーナースが責任を持って担当する。

「患者さんはナースを治療する側の人間と見なしがちですが、私たちの立場はあくまでも患者さん側であり、患者さんの不安や心配などが何でも遠慮なく相談できる立場にいることが大事です」と、吉川さんは力説する。

聖路加国際病院小児病棟では、年間10人近く子どもが亡くなる。その場合、看護師は親身にケアしてきただけに、自責の念にかられ、燃え尽きる看護師もいる。

「初めて受け持った子が亡くなった場合は、ナースも大きな衝撃を受けます。そのあたりは私たちベテランが十分配慮します」と吉川さんは言う。